2022.07.21
【MIRAI HR TIPS】労働問題で取引先がなくなる!?
大手金融機関に関する新聞記事に人権に関する記載がありました。
具体的には、「環境や社会に配慮した投融資の取り組み方針に児童労働や強制労働、人身取引に関する事項を追加して、このようなことが取引先で確認された場合には、是正を求める」といったことが書かれていました。是正の結果、改善が見られない場合には取引の継続を慎重に検討することや、新規取引先に児童労働等が行われていることが明白な場合には投融資は行わないなどとも記載されています。
最近では、私達のお客様の中でも、「親会社から人権に関する経営方針を求められた」「海外の取引先から人権に関するチェックを求められた」など、人権に関する問題が徐々にクローズアップされてきていると感じます。
欧州では、自社だけではなくサプライチェーン全体を通して強制労働や児童労働などが行われていないかを調査して、発生を予防する目的で人権デューディリジェンスを企業に義務付ける動きが広がっています。日本でも、政府が夏ごろに人権デューディリジェンスについて指針をまとめると発表しています。
今後は海外と取引のある企業はもちろん、そうではない企業においても、ますます人権を意識した経営が求められてくると予想されます。
法務省がまとめた資料によると、人権デューディリジェンスに関係する項目は全部で25項目あります(具体的な項目は下記リンク参照:法務省人権擁護局資料から)。項目を見てみますと、賃金や労働時間、ハラスメントなど、労働分野に関する項目が多数を占めていることが分かります。
参照リンク:企業が尊重すべき人権の分野(25項目)
そうすると、「労働分野に関する課題」≒「人権に関する課題」といっても過言ではないとも考えられます。これからは、労働分野に関する課題(≒人権に関する課題)を解決していかないと、上記のように金融機関や取引先との関係に何らかの影響を及ぼすことも考えられます。
最後に、SDGsにおいては、人権はSDGsを実現するための取り組みの一つと考えられており、またESGにおいても、特に「S(社会)」にはダイバーシティや労働問題などの人権課題が含まれるとされています。このように見てみると、人権課題を解決することがSDGsやESGの取り組みにも繋がっていくことがわかります。
労働に関する課題を明確にして、その課題を改善をすることで、「人権への取り組み」「SDGs」「ESG」を意識した経営に繋がっていくとも考えられます。
労務コンプライアンス協会では、人権デューディリジェンスを始めとし、「人的資本」をキーワードに企業の「価値向上」を実現する取り組みを行っています。